「広告費、かけすぎではないか?」「でも減らすと売上が落ちそうで怖い」——多くの経営者が抱えるジレンマです。判断の第一歩は、自社の広告宣伝費が売上に対して何パーセントかを把握し、CPAや粗利と照らし合わせること。そのうえで、広告に頼りすぎない集客へ少しずつ移していくのが健全な削減の進め方です。
本記事では、自社の広告宣伝費比率を判断するための見方と、費用を抑えながら集客を維持する考え方を整理します。海外データも紹介しますが、日本の広告宣伝費とは概念が異なるため、単純比較はしません。
- 広告宣伝費に含まれる主な費用
- 売上比率・CPA・粗利を使った予算判断
- 米国のマーケティング予算と日本の広告宣伝費の違い
- 集客を落とさず広告費を削減する考え方
以下では、広告宣伝費の範囲、予算の判断指標、費用を抑えながら集客を維持する方法を順番に解説します。
広告宣伝費とは集客のための費用
広告宣伝費とは、商品やサービスを知ってもらい、購入・来店につなげるために使う費用の総称です。具体的には次のようなものが含まれます。
- Web広告(リスティング広告・SNS広告・ディスプレイ広告など)
- チラシ・DM・看板などのオフライン広告
- ポータルサイト・比較サイトへの掲載料
- キャンペーン・販促の費用
「売上の何%を広告に使うか」を広告宣伝費比率(広告費率)と呼び、コスト管理の重要な指標になります。
広告宣伝費は自社採算で判断する
結論から言うと、「全業種共通の正解」はありません。同じ売上規模でも、粗利率、顧客単価、継続率、成長ステージによって使える広告費は変わるためです。まずは次の3つを同じ期間で確認します。
| 確認する指標 | 計算方法と判断の視点 |
|---|---|
| 広告宣伝費比率 | 広告宣伝費 ÷ 売上 × 100。売上に対して負担が増えていないかを見る |
| CPA | 広告費 ÷ 新規顧客数。1件の獲得費用が利益に見合うかを見る |
| 回収額 | 広告経由の売上と粗利を確認し、粗利で費用を回収できているかを見る |
広告宣伝費比率だけで削減を決めると、利益を生んでいる広告まで止める恐れがあります。比率は異常値を見つける入口とし、最終判断はCPAと粗利まで含めて行うのが安全です。
海外データで見るマーケティング予算
HubSpotが公開した「Marketing budget: How much should your team spend in 2026? [By industry]」では、HubSpot 2026 State of Marketing surveyをもとに、対売上のマーケティング予算として全体推奨9.4%、B2B 8〜11%、B2C 9〜12%が示されています。これは米国の「マーケティング予算」に関する調査データです。
対売上のマーケティング予算は、全体推奨9.4%。B2Bは8〜11%、B2Cは9〜12%。
同記事に示された業種別の対売上比率は次のとおりです。
| 業種 | マーケティング予算(対売上) |
|---|---|
| 消費財 | 18.09% |
| 教育 | 14.59% |
| 通信メディア | 13.82% |
| 運輸 | 11.67% |
| 不動産 | 9.82% |
| ヘルスケア | 9.31% |
| SaaS | 9.16% |
| 医薬バイオ | 8.21% |
| 製造 | 6.67% |
| 小売卸売 | 5.46% |
| エネルギー | 3.21% |
ここでいう「マーケティング予算」は、日本の会計・実務でいう「広告宣伝費」より広い概念です。さらに米国データであるため、日本企業の広告宣伝費比率の適正値として直接置き換えることはできません。業種や事業モデルで予算配分に大きな幅が出ることを理解するための参考として使い、自社では広告宣伝費、CPA、粗利を分けて判断してください。
広告費を削減して集客を維持する方法
広告費の削減は、単に出稿を止めることではありません。広告以外の集客の柱を育てながら、依存度を下げていくのが本質です。
1. 「止めたら消える集客」と「積み上がる集客」を分ける
リスティング広告は出稿を止めると、広告経由の流入も止まります。一方、GoogleビジネスプロフィールやローカルSEO、コンテンツで整えた情報は継続的に活用できる資産です。広告費を見直す際は、その一部を中長期で活用できる集客施策へ振り替える方法があります。地域集客の始め方は 地域名×集客のローカルSEO入門 にまとめています。
2. 費用対効果(ROAS・CPA)で「効いていない広告」を止める
すべての広告を一律に減らすのではなく、1件の獲得にいくらかかっているか(CPA)を媒体・キャンペーンごとに見て、効いていないものから止めます。「なんとなく続けている広告」を洗い出すだけで、比率は下がります。
3. 広告に頼らない直接的な営業導線をつくる
特にBtoBや高単価商材では、広告よりも直接アプローチ(営業)のほうが費用対効果が高い場面があります。コストをかけずに問い合わせや商談を生む手段として、営業メールの活用も有効です。具体的な文面は 「仕事をください」を伝える営業メールの例文 で紹介しています。
広告宣伝費削減のよくある質問
Q. 創業期は広告費を多めにかけるべきですか?
A. 認知が十分でない立ち上げ期は、広告宣伝費比率が高くなることがあります。ただし獲得単価を測りながら使い、軌道に乗ったら中長期で活用できる集客施策へ比重を移していくのが健全です。
Q. 広告費を減らしたら、すぐ売上は落ちますか?
A. 効いていない広告を止める分には、売上への影響は限定的です。むしろ削った費用を効果の高い施策に再配分することで、同じ予算でも成果を伸ばせる余地があります。
Q. 表の比率を自社にそのまま当てはめてよいですか?
A. そのまま当てはめるべきではありません。表は米国の「マーケティング予算」であり、日本の「広告宣伝費」より広い概念です。同じ業種でも成長ステージや収益構造で適正値は変わるため、自社の獲得単価と利益率を基準に判断してください。
まとめ:広告宣伝費を削減する判断軸
広告宣伝費の適正水準は業種や収益構造によって変わるため、まずは自社の比率を把握し、CPAと粗利まで確認することが出発点です。削減のゴールは「広告を止めること」ではなく、中長期で活用できる集客基盤を育てて、広告への依存度を下げること。効いていない広告を見直し、その分をローカルSEOや営業導線に振り替えていきましょう。
- 広告宣伝費比率だけでなく、CPAと粗利も確認する
- 米国のマーケティング予算を日本の広告宣伝費と同一視しない
- 効果の低い広告から止め、成果が出ている施策は残す
- ローカルSEOや営業導線など、蓄積できる集客基盤を育てる
まずは直近の広告宣伝費、売上、獲得件数、粗利を同じ期間で整理し、見直す施策を一つ決めましょう。
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