「求人を出しても変な人しか来ない」と感じると、応募者や求人媒体に原因を求めたくなるかもしれません。しかし、その言葉で応募者をひとまとめにしても、採用のずれは直せません。実際には、自社が求める人と、求人から読み取れる仕事や期待が一致していない場合があります。

求める応募者に届く求人へ変えるには、曖昧な人物像ではなく、仕事の目的、具体的な業務、必要な条件、難しさ、支援を正直に書くことが重要です。求人は応募者を選ぶ文章であると同時に、応募者が会社を選ぶ判断材料でもあります。

この記事を読んで分かること
  • 求人で応募のずれが起きる理由
  • 求める人物像を具体化する方法
  • 求める応募者に届く求人の構成
  • 公的な採用事例から学べること
  • 求人表現で守るべき法的な注意点

本記事では「変な人」を応募者への評価として使わず、検索時に抱えている困りごとを表す言葉として扱います。採用できない理由を人の属性で決めつけず、求人と選考の設計を見直します。

求人で応募が来ない・変な人しか来ない原因

曖昧な求人には異なる期待を持つ応募者が集まり、具体的な求人では仕事内容に合う応募者が自己判断できる比較。

「明るくやる気のある方」「成長したい方」「アットホームな職場」といった表現は、広く見えますが、仕事の内容や期待する行動を判断できません。採用側と応募側が別の意味で受け取れば、面接や入社後にずれが表面化します。

曖昧な求人判断できる求人
コミュニケーション力がある方顧客の要望を聞き、社内担当へ文書で共有する
幅広い仕事を担当一日の主な業務と繁忙期の追加業務を示す
未経験歓迎入社時に不要な経験と入社後の研修を示す
頑張りを評価評価する行動、確認時期、役割の変化を示す

具体化とは、条件を厳しくすることではありません。応募者が自分にできる仕事か、働き方が合うかを判断できる情報を増やすことです。採用側も面接で確認する項目をそろえやすくなります。

応募が来ない求人の実態を公的統計で見る

中小企業庁の2024年版中小企業白書では、中核人材について7割超の企業が不足、業務人材についても半数以上が不足と回答しています。中途採用の課題では「応募が少ない」が6割超で最多であり、新卒採用でも「応募が少ない」が最多でした。

製品・サービスを差別化している企業ほど応募を獲得できている傾向があり、他社との差別化によって自社の魅力を高めることが良好な応募状況につながる可能性が示唆される。

白書は、差別化の度合いに回答者の主観が含まれる点にも注意を促しています。そのため、差別化すれば必ず応募が増えるとは断定できません。それでも、知名度や給与だけでなく、自社で働く意味や仕事の違いを伝えることが応募状況と関係する可能性を示しています。

「変な人しか来ない」ときは人物像を見直す

人物像を「素直」「明るい」「地頭が良い」といった抽象語だけで決めると、評価者ごとに意味が変わります。まず任せる仕事を書き出し、その仕事で必要な行動、知識、経験を分けます。

この整理をした後に、必須条件と歓迎条件を分けます。教育できる内容まで必須にすると、仕事に合う人の応募を自ら狭める可能性があります。一方、安全、資格、法令上必要な条件は曖昧にせず明記します。

「変な人しか来ない」を防ぐ日本企業の事例

厚生労働省の「地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集」には、株式会社セラビが、求人票や面接で仕事の実像を伝えている事例が掲載されています。同社は17時30分終業、年間休日124日という働きやすさだけでなく、限られた時間で集中して業務を進める仕事の厳しさも伝えています。

17時30分終業、年間休日124日という働きやすさに加え、短時間で集中して業務を遂行する厳しさも求人票や面接で伝えている。

働きやすい条件だけを強調すると、「負担の少ない仕事」と受け取った人が応募し、採用側が求める働き方とのずれが面接や入社後に判明する可能性があります。応募者が変なのではなく、求人から想像した仕事と実際の仕事が違っている状態です。

この事例から分かるのは、応募数を増やすために良い面だけを見せるのではなく、仕事で求められる姿勢や難しさも具体的に伝える必要があることです。応募者が事前に向き不向きを判断できれば、「変な人しか来ない」と感じる採用のずれを減らせます。

応募が来ない求人を変える5つの構成

仕事内容と条件を具体化した求人を応募者が確認し、自己判断して面接で認識を合わせる流れ。

仕事の目的、具体的な業務、条件、難しさと支援、選考の流れを示すと、応募者は自分に合う仕事かを判断し、面接でも認識を確認できます。

仕事の目的を書く

部署名や職種名だけでなく、誰にどの価値を提供する仕事なのかを書きます。会社全体の理念を長く載せるより、募集する役割と理念がどうつながるかを具体化します。

業務の場面を具体化する

業務一覧だけでなく、一日の流れ、社内外で関わる相手、使用する道具、繁忙期を示します。「幅広く担当」と書く場合も、中心となる仕事と例外的に発生する仕事を分けます。

必須条件と歓迎条件を分ける

入社初日から必要な条件だけを必須にし、学習可能な条件は歓迎または入社後に習得する内容へ移します。経験年数を置くときは、その年数が必要な理由を仕事内容から確認します。

難しさと支援を両方伝える

良い面だけを強調すると、入社後の期待値がずれます。判断の速さ、体力、繁忙期、顧客対応など難しい場面を隠さず、研修、相談先、確認体制と対にして伝えます。

選考と入社後の流れを書く

面接回数、選考で確認する内容、結果連絡の目安、入社後の教育を示します。選考過程で仕事の実像を確認できれば、採用側だけでなく応募者側も適合を判断できます。

応募が来ない状態を変えた日本企業の事例

厚生労働省の「地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集」は、採用や定着に成功している20社へのヒアリングをまとめています。PDF紙面を目視照合した範囲では、気仙沼の漁具会社アサヤ株式会社が、経営理念と組織課題を整理し、採用サイトなどで内外に発信した事例を掲載しています。

2022年から通年で応募が50人に増加し、1年間で12名の採用に成功。

組織課題を明確化し、会社の意志を内外に発信する。採用面だけでなく、社内に方針を伝えるためにも大切なことだと感じています。

これは一社の事例であり、同じ発信をすれば同じ応募数になる保証ではありません。ただし、求人票の言葉だけを直す前に、組織課題と会社の意思を整理し、社内外で一貫して伝えるという順番を学べます。

採用活動は対話がすべて。応募者との対話と受け入れる現場との対話どちらも大切です。

このコメントは、求人で伝える内容を採用担当者だけで決めず、受け入れる現場とも認識をそろえる必要性を示しています。

応募が来ない求人で避けたいNG表現

魅力を伝える場合も、虚偽や誇大な表示は避けなければなりません。職業安定法では虚偽・誇大な求人表示が禁止されています。男女雇用機会均等法では性別を限定する募集は原則認められず、労働施策総合推進法では年齢制限も例外事由を除いて原則禁止です。

法令上の判断は個別の募集条件で異なります。迷う表現は、所轄の公的窓口や専門家へ確認してください。応募を増やすために条件を良く見せるのではなく、実態を改善してから求人へ反映する姿勢が必要です。

「変な人しか来ない」求人のよくある質問

Q.条件を絞ると応募が減りませんか

A.必須条件を増やすのではなく、仕事と期待を具体化します。応募総数だけでなく、仕事を理解した応募が増えたか、面接時の認識が合っているかで見ます。

Q.給与を上げないと改善しませんか

A.給与は重要な条件ですが、それだけで仕事の適合は判断できません。業務、評価、働き方、難しさ、支援を具体化し、条件面の課題があれば求人表現ではなく実態を見直します。

Q.実績は求人にも使えますか

A.会社が顧客へ提供する価値や仕事の手応えを伝える材料になります。守秘義務と事実確認に注意し、成果だけでなく担当者がどう関わったかを示します。事例の整理は施工事例の書き方の考え方も応用できます。

まとめ:応募が来ない求人の書き方を見直す

求人に求める人が来ないときは、応募者を評価する前に、求人から仕事内容と期待を正しく判断できるかを確認します。曖昧な人物像を、仕事の目的と行動へ置き換えることが出発点です。

まずは現在の求人票を現場の担当者と読み、「この文章から一日の仕事が想像できるか」を確認してください。想像できない箇所を具体化することが、応募のずれを減らす最初の修正です。